本づくりプロジェクト

講談社 本づくりプロジェクト第二弾

行成薫 『     』
タイトル募集!

読者が書店で本をザッピングする時間は一冊あたり平均0.3秒。帯とカバーはもちろん、何より大切なのがタイトルです。目を惹き、覚えやすく、読みたくなり、作品の中身に嘘をつかないタイトル。そんなタイトルを日夜探しています。

普段は作家と編集者の二人で考えていますが、多くの方々のお力を借りれすれば、ついに「これしかない!」と思えるタイトルが見つかるのではないか?そう思い至り、今回の募集をすることとなりました。
恋愛小説であり、青春小説でもある。ミステリーであり文学でもある。主人公は中学生から老人まで……と、ひとつにはくくれない虹色の連作短編集です。最後、確かに胸に残るものがあると思っています。みなさまのご応募、お待ちしております。

本づくりプロジェクト第二弾 タイトル決定!!

『廃園日和』

4月6日より決定タイトルにて
電子先行配信スタート!!

受賞者  岩田康平さん

最終候補作として、
以下の2タイトルも残りました。

  • 『回る。』
    吉田亮太さんの作品

  • 『本日をもって廃園します。』
    リアルさんの作品

※装幀は仮のイメージです/
designed by 兼田弥生(Veia)

■著者コメント
◇まえおき
タイトル募集については、最近何作かの小説が新しい試みとして取り入れておりますけども、まさか自分の小説でやることになるとは思っていませんでした。小説のタイトルというのは、作品の顔となる大切なパーツです。よく小説を読まれる方であれば、「タイトル買い」をした経験が、一度二度はあるのではないでしょうか。 僕も、タイトルとは、作品で言いたかったこと、ストーリーのすべてを凝縮した一滴のエッセンスだと思っています。タイトルをまるっと人任せにしてしまうということには、多少不安もありました。ですが、生来の「面白いこと好き」な性格がワサワサしてしまい、今回、企画にトライしてみることにしました。結果、予想を大きく上回るたくさんのご応募をいただいて、とてもうれしく思います。
◇「廃園日和」について
実は、この「廃園日和」というタイトルは、僕と編集さんの間で一次選考をした時点では選外でした。「廃園」というネガティブな言葉をタイトルに使うのは不適切なのではないか、という考えがあったからです。「廃」の字とか、ほんとにイメージがよろしくない。ですが、その後、何度か応募いただいたすべてのタイトルを見返すうちに、じわじわと「なんかいいな」と思うようになりました。「廃園」または「閉園」という言葉を使ったタイトルは他にも何作か頂きましたが、「日和」という柔らかい言葉と組み合わさることで、「廃園」という言葉のトゲトゲしさがすっと中和され、いい具合の口当たりになったと思います。作中の遊園地最後の一日の中で、時間とともに天候も移り変わっていきます。僕の中では、「廃園」の一日は、こういう天気がふさわしいんじゃないかな、まさに「廃園日和」なのではないかなと思います。結果、僕が選考日に突如ワガママを申しまして、選外からの逆転ホームランという形になりました。とても良いタイトルをありがとうございます。
◇「回る。」について
書いているときにあまり意識はしなかったのですが、登場する遊園地のアトラクションは、回転、回るという動作をするものがほとんどでした。メリーゴーランドとか。観覧車とか。人間には、「ぐるぐる回りたい衝動」があるのでしょうか。回るもの。時計の針だとか、人生だとか。時代が巡り、また新しい時代が回り回って、いろいろなものが生まれ、消えていく。われわれは日々、回りながら生きています。この一語で、未読の人にどれだけ作品のソウルが伝わるか、という一点において採用作に一歩譲ることになりましたが、これも、本作の中のテーマを端的に表現する、いいタイトルだったなあ、と思います。
◇「本日をもって閉園します。」について
まず、一言で作品の内容を伝えきっている、ということで、シンプルながらいいタイトルだなあ、と思いました。作品の文体だとかテンションを考えると、本文と一番空気感が近かったのは、このタイトルだったかもしれません。悲しさとか寂しさという感情もありつつ、どこか素朴でコミカルな感じもあります。わかりやすく、キャッチ—な候補ではありましたが、言葉のチョイスの妙味という部分でもうひと味欲しかったかな、と思いました。でも、選ばれてもおかしくない、よいタイトルであったと思います。
今回、選外になったものも含め、多数のご応募、誠にありがとうございました。
重ねて、作者より深く御礼申し上げます。行成 薫
■編集部より
多くの方にご応募いただき、感謝に堪えません。普段、作家と編集者で頭をひねって考えているタイトルを、みなさんも一緒に考えていたということが大変楽しく、嬉しく、ありがたかったです。廃園の「廃」という文字がもつマイナスイメージや、日和、という言葉を使うと、廃園にもってこいの日、という意味にも読みとて、内容とややそぐわない点もあるかと思いましたが、Veiaのデザイナーさんとも相談し、ゴチック体で明るさを演出、コラージュで、一日だけのことではなく、これまでの歴史も含めての廃園 “日和”という印象を出していただき、決定となりました。ちなみに、行成さんと編集部がつけていた仮タイトルは「さよなら、またね。」でした。同じタイトルを応募してくださった方もいらっしゃって心強かったです。応募していただいた全タイトルは、単行本化の際に投げ込むしおりに掲載させていただく予定です。
この度は、ご応募、ありがとうございました。

たくさんのご応募
ありがとうございました。

■行成薫 『     』について
廃園が決まった遊園地の最後の一日を描く連作短編集。中学生の団体、年の離れたカップル、親子連れや老人夫婦らが、さまざまな思いを胸に訪れる。二度と会えない相手との別れ際に、かけるべきる言葉とは?
【行成薫(ゆきなり・かおる)】 1979年宮城県生まれ。東北学院大学教養学部卒業。
2012年『名も無き世界のエンドロール』で第25回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。
他著に『バイバイ・バディ』『ヒーローの選択』『僕らだって扉くらい開けられる』がある。
■本づくりプロジェクトとは!?
本づくりは楽しいです。読者の気持ちを想像しながら、あれこれと様々なパターンを検討しては消去し、細部を詰めていきます。もちろん最終形はひとつだけ。プレッシャーはありますが、編集者で幸せだなあと、いつも思います。そんな幸せを皆様と分かちあう本企画を始めてみます。ぜひ、ご参加ください!
■応募に関する注意事項※応募は締め切りました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
  • ・応募受付期間:2月16日(金)~3月1日(木)
  • ・1回の応募につきタイトルを1つ応募できます。複数の場合はお手数ですが改めてご応募お願いいたします。
  • ・選考は著者と編集部で行います。
  • ・作品の選考結果発表/講評については、編集部のスケジュールと方針で運営いたします。
  • ・応募された方の個人情報は厳重に管理し、本企画遂行および許可を得た使用目的以外に利用することはありません。
  • ・本企画遂行のため、各編集部から直接メール・電話・郵便等の方法によって連絡をとらせていただく場合がございます。
  • ・応募作品が他者の著作権を侵害すると判断した場合は審査対象から除外いたします。
  • ・採用されたタイトルには原稿料3万円をお支払いいたします。
  • ・採用された作品の出版権、上映・上演権、映像化権等諸権利は当社(講談社)に帰属するものとします。
【本件に関する問い合わせ先】
講談社 デジタル第二営業部
担当:小林
e-mail:n-kobayashi@kodansha.co.jp
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